サッカー日本代表のベスト16進出、そしてスペインの初優勝で日本中のサッカーファンを熱狂させた2010 FIFA ワールドカップ南アフリカ大会。ちょうどその頃 mixi では、「mixi FES!」というオンラインイベントが大きな盛り上がりをみせていたのをご存知だろうか。
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「mixi FES!」は、FIFA オフィシャルパートナーであるアディダス、コカ?コーラ、ソニーが参画して、サッカーファンもそうでない人も、様々なアトラクションを通じてワールドカップを楽しんでもらおうと企画された mixi アプリで、6月から約2ヶ月間開催されたこのイベントでは、期間中に約42万人の mixi ユーザーが参加した。
熱狂的なサッカーファンだけを満足させるだけではなく、彼らを中心に多くの mixi ユーザーに参加してもらう「お祭り」にしようというコンセプトで、いわゆる「サッカーマニア」が喜ぶコンテンツだけでなく、マイミクシィ同士でチームを作り、獲得するポイントに応じて戦力がアップする PK ゲームや、土屋アンナ、加藤ミリヤ、西野カナといった mixi 公認ユーザーとして参加している芸能人によるビデオメッセージやストリーミングライブなども開催し、この「お祭り」を盛り上げたという。
このイベントに構想段階から参画し、試合結果予想ゲーム「mixi Calcio!」や、海外でも展開しているソーシャルアプリ「EVERY TEAM NEEDS THE QUEST」など、様々なアトラクションを提供したアディダス?ジャパン株式会社 スポーツパフォーマンス事業本部 ブランドマーケティング Digital Planning マネージャーの市丸 亜矢子氏に、この企画のねらいやそのマーケティング効果などについてお話を伺った。
● サッカーの面白さ、スポーツの楽しさを知ってほしかった
市丸氏によると、「mixi FES!」はアディダスがワールドカップの盛り上がりを最大化させるためのプランニングの中でミクシィに相談し、実現したという。アディダスは、4年に1度行われる世界最大のスポーツイベントであるサッカーワールドカップの盛り上がりを最大化させ、多くの日本人にその面白さを体験してもらい、「自分事」にしてもらうことでアディダスの考えるコミュニケーションの輪に加わって欲しいと考えていた。
そのためには、海外サッカーの動向を追い続けている「コアファン層」だけでなく、普段はサッカーに関心が薄い層をも巻き込み、その魅力を知って関心を持って欲しかったのだ。アディダスのブランドメッセージを幅広く消費者に浸透させるためには、より多くの人にサッカーの魅力、スポーツの魅力を感じ、関心を高めてもらうことが第一条件。その目的を果たすための手段をソーシャルメディアと位置づけ、その実現の場に日本最大のユーザー数をもつ mixi を選んだ。当初、グローバルキャンペーンとして、Facebookで実施する方向性も考えたとのことだが、日本では国内で圧倒的なシェアを持つmixiで実施しなければ意味がないことを各所に説明し、展開することを選択したという。
「ワールドカップってこんなに面白い!と多くの mixi ユーザーに語り掛けたかった。ミクシィさんと一緒に盛り上げようと、一致団結して企画を考えた。」と市丸氏は振り返る。そして、同じくワールドカップのパートナー企業であるコカ?コーラ、ソニーも参加し、「mixi FES!」は誕生したのだ。
市丸氏は、mixi のソーシャルグラフの特徴を「スペシャリティと裾野の広さの両面を持つ」と表現する。つまり、数十万人を抱えるサッカーファンのコミュニティが多数ある一方で、女性やティーンなどアディダスが今後開拓したい消費者層も多く、それがソーシャルグラフで繋がり、2000万人というユーザー数を形成している。その彼らに対して様々なアクティビティを提供し、話題を起こせることが潜在顧客層の開拓に繋がると考えているようだ。アディダスは、スポーツが好きな人だけにマーケティングをするのではなく、「スポーツが好きな人を増やす」マーケティング活動も重要だと考えているのだ。
● 温度差のある2つのターゲット層に、異なる楽しみを提供
「mixi FES!」では、サッカーに関心の高い層を熱狂させ、関心が薄い層に興味を持ってもらうという温度差のある2つのターゲットにアプローチする必要があった。そこで、アディダスは2つの異なる趣向のアトラクションを提供した。
ひとつは、「EVERY TEAM NEEDS…THE QUEST チームを頂点に導くのは誰だ。」というもので、アディダスが元フランス代表のジネディーヌ?ジダン氏をアンバサダーとして展開したグローバルキャンペーン「EVERY TEAM NEEDS…」の集大成として展開したものだ。世界各国のチームから「チームを勝利に導く者」がその実現に必要なプレーヤー、スキルや製品を集め、彼らがワールドカップで激突するというストーリーで、実際の対戦カードに合わせて「試合のキーマンは誰だ?」という投げかけに対し、参加者がその予想や試合の行方を議論するという仕組みになっている。サッカーファンにはたまらない議論の場になりそうだが、その中でマイミクシィを招待したり、日記を通じて波及したりすることでファン層以外にも参加者の裾野が広がる結果になったという。
なお、この「THE QUEST」はグローバル展開をしており、Facebookでもアプリを提供した。しかし、ミクシィで実施したものとは少し異なるという。市丸氏は、日本のソーシャルメディアの特徴を、「日記やブログに代表されるように、自分の意見を発信することに苦を感じない文化がある」という認識を示した。その上で、アディダスから配信されるアプリを楽しんで「Like!」ボタンで共有するという Facebook アプリと異なり、 mixi では「ユーザー同士でコメントを寄せ合い、議論する」というインタラクションを中心に、マイミクシィ間での情報波及を広げる仕組みも実装することができたと振り返る。「企業が単体でユニークネスを訴求し、流行させるのは難しい時代になった」と語り、情報のアウトプットとして企業と消費者、消費者同士のつながりの中でどのようなコミュニケーションを生み出すべきかを考えることが重要だとした。
一方、サッカーへの関心が薄い人には、ワールドカップを様々な切り口で予想や投票をし、楽しんでもらう、「mixi Calcio!」を提供した。これは、サッカーに関することだけでなく、出場国の常識問題やユーザー多数決を織り交ぜ、サッカーを「観て楽しむ」ものから「友人と参加して楽しむ」ものにし、ワールドカップやサッカーに親しみを持ってもらいたいという意図があったという。
「サッカーという文化を広めたい」というアディダスの目的に対して、「良い意味で、入口は様々な形でよいと考えている」と市丸氏は話す。当然、サッカーファンなら個人プレーやチーム戦術など試合そのものが関心の的だが、そうでない人は選手のルックス、スーパープレー、スタジアムの雰囲気、サポーターの応援、友達がサッカーファンだった、などなど、ワールドカップを形成するいずれかがきっかけになり、そこからサッカーそのものに関心を持ってくれれば、「サッカー文化を広める」ための第一歩になると考えているのだ。
(後編に続く)
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引用元:ラテール rmt
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12 年前